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• 2019年10月17日
• カテゴリー：骨折・捻挫・打撲・肉離れ・脱臼

上腕骨外科頚骨折
日常診療でも遭遇する事が多く上腕骨近位端部骨折では最も重要な骨折です。

特徴
1、大小結節部より骨幹部に移行する細かくなっている部位で、
解剖学的には関節包付着部から大胸筋付着部の範囲をいいます。
すなわち結節部下界と結節間溝、大胸筋付着部上界との間に起こった骨折です。

2、臨床的には近位端部骨折の中で、最も頻度の高い重要な骨折です。
3、高齢者で骨粗鬆症者に多発します。
4、本骨折の骨片線は複雑で、横骨折・複合骨折・粉砕骨折・脱臼骨折
更に骨折線が大結節や解剖頚の一部にまで及んだものなどがみられます。

原因
①介達外力に依る場合（最も多い）
1、肘関節伸展にて手掌を衝いたとき、また肘関節屈曲位にて肘部をつき上腕骨長軸方向に外力が作用すると、
骨頭の一部が関節窩で支点となり上腕骨のテコ作用により骨折します。

2、上腕骨の外転により上腕軸と鎖骨との力点が鎖骨長軸に強く作用するときは鎖骨骨折となり、
外転角度が一定の角度をなしたときは上腕上端の細い部分の外科頸に外力が加わって骨折を起こします。

②直達外力に依る場合（稀である）
1、上腕骨上端部に外側より外力が加わり、直接肩部を衝いて転倒、強打し発生します。
この場は、外転骨折の転位をとります。

骨折線
年齢により異なりますが、単純な骨折線ではなく大結節や解剖頚まで走行する複雑な形態を取る複合骨折、
粉砕骨折あるいは脱臼骨折など種々の骨折がみられます。

骨折片転位と関連筋
1、近位骨折片…軽度の外転と外旋あるいは転位なし。
①大結節…棘上筋、棘下筋、小円筋の外転、外旋筋が付着
②小結節…肩甲下筋　　　　　　　の内転、内旋筋が付着
①②の相反する筋力の作用により筋力で転位は少ない
（しかし若干外転と外旋の方が強い）

2、遠位骨折片…内方、上方、前方に転位しやすい。
①内方…大胸筋と大円筋と広背筋の牽引
②上方…上腕二頭筋、上腕三頭筋、烏口腕筋の牽引
③前方…大胸筋と上腕二頭筋と烏口腕筋の牽引

定型的骨折片転位
1、外転型骨折
最も多いです。上腕を外転位で転倒し上腕長軸に作用した外力と体幹の加重により、外科頸に屈折力と
外旋力が働き骨折を起こします。遠位骨折片は外転位となるため骨折端は前方で内方凸の変形、
上腕の短縮、上腕軸は外転位を呈する（近位骨片は軽度内転位、遠位骨片は前内上方・軽度外転位）
子供と比べ成人に多いです。

前後面
①近位骨折片…軽度の内転、内旋位
②遠位骨折片…近位骨片の内・前・上方に転位し上腕骨軸は外転位を呈し、内方凸の屈曲変形を呈する。

軸位（側面）
①近位骨折片…前方転位或いは原位置
②遠位骨折片…前方転位

2、内転型骨折
上腕を内転位（体幹に接するようにして）で転倒し、肘部又は肩部を衝き上腕に内転と内旋力が
加わって発生し外方凸の変形を呈します。少年期に多いです。

前後面
①近位骨折片…軽度の外転、外旋位
②遠位骨折片…近位骨片の外・前・上方に転位し上腕骨軸は内転位を呈し、外方凸の屈曲変形を呈する。

軸位（側面）

①近位骨折片…軽度前方転位
②遠位骨折片…前方転位

3、嵌入（噛合）骨折
①転位は軽度である。
②高齢者で骨質のモロイ人に多い。
③両骨折端が嵌入している。
④粉砕骨折型の形態を呈する。
⑤圧痛、運動痛は少ない。

症状
①腫脹は肩関節周辺に著明。
②疼痛は自発痛及び限局性圧痛、介達痛、運動痛著明。
③機能障害は上腕骨運動不能、嵌入骨折の時、障害は少ない。
④皮下出血は上腕前内側から肘関節にかけてみられる。著明な時は前胸部まで皮下出血を見る。
⑤異常可動性と軋轢音は肩部を押さえて上腕を動かしてみると異常可動性があり軋轢音もある。
⑥上肢の短縮は骨折片転位が大の際みられる。

合併症
外力作用が強く働き発生するので合併損傷も又多いです。

①血管、神経損傷…腋窩神経損傷が多い。（三角筋麻痺）
症状は肩関節挙上不能、しかし自然回復が多く6ヶ月～1年以内で80％治癒。

後遺症
①肩関節機能障害
内転拘縮位を取り外転が制限される。時に関節強直。
②二次的変形性関節症

予後
ある程度の運動制限を残す事も少ないですが、全般に日常生活に支障が無く良好になります。

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https://www.iijima-seikotuin.net/　

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