前・後十字靭帯損傷
(1)発生機序:
1)ACL(前十字靭帯):膝屈曲位(緊張時)での外力(ジャンプでの着地、下腿の外旋)
2)PCL(後十字靭帯):脛骨粗面部付近への直達外力が多いです。
(2)症状
1)ACL
①受傷時:激痛(断裂音を体感する事が多いです)
②腫脹 :数時間以内に著しく腫脹し、関節血症を認めます。
③陳旧例:膝崩れ(ギビングウェイ)
2)PCL
①腫脹…関節血症を認めます。
②圧痛…膝窩部(膝の裏)
③皮下出血…膝窩部(膝の裏)
④脛骨の後方へのストレス→激痛
⑤陳旧例…脛骨の後方おちこみ
(3)検査法
①ラックマンテスト:軽度屈曲位での前方引き出し(ACL)
②Nテスト
③引き出し徴候:膝90°屈曲位(ACLとPCL)
(4)治療
1)前十字靭帯損傷。
①損傷直後:RICE+軽度屈曲位固定
1度:症状の消退→テープ等の簡易固定に移行
2度:大腿から足部まで一定期間の固定を行う
3度:観血療法が望ましい
②スポーツ活動を望む若い方や不安定感の強い場合→ACL再建手術
活動性の低い中高年の方や日常生活レベルで不安定感なし→保存療法
③保存療法:装具装着、筋力増強訓練…(膝完全伸展に注意)
※膝くずれの繰り返し→関節軟骨や半月の損傷
→膝関節構成組織損傷の拡大に伴う変形性膝関節症など
=運動療法の目標…膝くずれの予防
2)後十字靭帯損傷
①脛骨後方動揺性が軽度なもの→保存療法
脛骨後方不安定性の強い場合→PCL再建手術(オペ)
(スポーツ活動時、階段昇降などでの不安定感や膝蓋大腿関節痛の訴えなど)
②保存療法:膝関節伸展位固定→可能性のある固定へ
→運動療法(大腿四頭筋訓練をメインに)
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